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2017-05-18

媒介契約書のチェックポイント

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物件の売買の仲介を不動産会社に依頼する際に結ぶのが「媒介契約」です。媒介契約は、不動産会社に依頼する業務の内容や支払う手数料などを明確に約束する重要な存在といえます。

希望するサービスを受けられるようにするためには、契約内容をきちんとチェックして漏れのないようにしましょう。

仲介トラブルを防ぐ媒介契約

不動産物件の売買の仲介を不動産会社に正式に依頼する際には、「媒介契約」という契約を締結します。これは、宅地建物取引業法によって不動産会社に義務づけられているもので、不動産会社に依頼する仲介の業務内容や、その対価として手数料をどのくらい支払うかといった内容が明確に定められます。

不動産取引は高額であることが多く、そのやりとりの1つ1つに間違いのない対応が求められます。依頼主と不動産会社の間でのささいな行き違いが物件の売買や価格に影響する可能性もあり、さまざまなトラブルに発展する危険が低くありません。

そこで、あとで“言った言わない”になったり、トラブルが起こったりしないよう、依頼主と不動産会社との間で依頼内容やその費用といった詳細を事前に明確に約束しておくのが媒介契約なのです。媒介契約を締結することで、依頼主と不動産会社の双方に権利や義務が発生します。

3つの形態がある媒介契約

媒介契約には、「専属専任媒介契約」「専任媒介契約」「一般媒介契約」の3種類があります。それぞれ契約形態が異なり、どれを選ぶかは依頼主が決めることができるとされています。

専属専任媒介契約とは、1社だけに仲介業務を依頼することができるもので、並行してほかの会社に依頼するといったことはできません。また、依頼主が自分自身で買い手を探して売買契約することも不可とされています。

この契約で依頼を受けた不動産会社は、契約日から5日以内にレインズ(国土交通大臣指定の指定流通機構が運営する不動産情報システム)に登録することと、週に1回以上売却活動の状況を依頼主へ報告する義務を負います。

専任媒介契約は、専属専任媒介契約と同様に1社にだけ仲介を依頼できる契約です。不動産会社によるレインズへの登録は7日以内で、依頼主への報告義務は2週間に1回以上ですが、依頼主は自分自身で買い手を探すことができます。

一般媒介契約は、複数の不動産会社に仲介を依頼することができ、依頼主が自分で買い手を見つけることも可能です。一方で、不動産会社にはレインズへの登録義務も依頼主への報告義務もありません。

媒介契約書の内容を必ずチェック

媒介契約の3つの形態に共通しているのは、契約書を取り交わすということです。宅地建物取引業者である不動産会社は、明確にした内容を記載した契約書を遅滞なく作成して記名・押印し、依頼者に交付することと定められています。

多くのケースでは、依頼者は不動産会社から媒介契約書を提示され、記名・押印を求められることになるでしょう。しかし、そこで「事前に聞いた内容が盛り込まれているはずだから」と内容も見ずに記名・押印するのはNGです。

契約行為においては、契約書の内容がすべてといっても過言ではありません。たとえ口頭では合意していたはずの内容でも、契約書に盛り込まれていなければ権利も義務も保障されないということになってしまいます。

トラブルが起こってから「こんなはずではなかったのに」と思っても、後の祭りです。そうならないよう、記名・押印の前に契約書の内容に必ず目を通し、不明な点は不動産会社に確認しておきましょう。ここからは、代表的なチェックポイントをいくつかご紹介します。

標準媒介契約約款に基いているか

媒介契約は、国土交通省が定めた「標準媒介契約約款」に基づいて締結するよう指導されており、その契約書には標準媒介契約約款に基づく契約であるか否かが表示されています。

不動産会社から提示された契約書が標準媒介契約約款に基づいていない場合は、その理由を確認し、納得してから契約を結ぶようにしましょう。

媒介契約の形態

締結する契約が3種類のどれであるかが書かれていますので、確認しましょう。加えて、一般媒介契約の場合は、「明示型」か「非明示型」かということも明記されます。

依頼主がほかの不動産会社に並行して依頼している場合、「明示型」ではそれを不動産会社に通知する義務があります。「非明示型」ではその義務はありません。

契約の有効期間

媒介契約の有効期間(契約期間)は、専属専任媒介契約と専任媒介契約は3ヶ月を超えることはできません。

一般媒介契約は法的には無制限ですが、標準約款では3ヶ月以内が推奨されています。その範囲で適切な有効期間になっているかどうかを確認します。

なお、3ヶ月以内に買い手が見つからない場合には、依頼者の申し出があれば契約を更新することができます。自動更新はされず、依頼主が自らの意思で判断することになります。

仲介手数料の額

不動産物件の売買成約後、依頼主が不動産会社に支払う仲介手数料が記載されています。この仲介手数料は、売買代金の金額に応じて、法律で下記のように上限額が決められていますので、まずはその範囲に収まっていることを確認します。上限額より低い分には問題はありません。

取引額のうち、200万円以下の部分…………………取引額の5%以内
取引額のうち、200万円超400万円以下の部分……取引額の4%以内
取引額のうち、400万円超の部分……………………取引額の3%以内

また、仲介手数料は広告費や交通費などの諸費用も含めた総額であるとされ、不動産会社は別途費用を請求することはできません。仲介手数料以外の費用の支払いが求められていないか、合わせて確認しましょう。

おわりに

物件売買の仲介を不動産会社に依頼するということは、依頼主にとっては自分の重要な物件を託すことでもあります。媒介契約は、信頼して託せるようにするための大切な準備です。

後悔することなく、スムーズに売買を進められるよう、契約書の内容をきちんと確認したうえで媒介契約を締結することが重要です。